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現代美術作家・大巻伸嗣が「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」を開催


現代美術作家・大巻伸嗣が、国立新美術館にて「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」を開催します。本展覧会は、同美術館最大の、天井高8m、2000m²にも及ぶ展示室をダイナミックに使用しての開催となります。この広大な空間でなければ展示できないインスタレーションは、観客の身体的な感覚と強く響き合い、細分化した世界に生きる私たちが失った総合的な生の感覚を喚起します。展示には、映像や音響、そして詩も用いられるほか、会場内でのパフォーマンスも予定されています。



本展覧会は、2016年に初めて発表された〈Gravity and Grace〉シリーズの最新バージョンから始まります。さまざまな動植物からなる文様を施された大きな壺から放たれる強烈な光と、それが生み出す影。ここで大巻は、原子力が引き起こした未曽有の人災に、核分裂反応の爆発的なエネルギーの象徴とも言える、最大84万ルーメンにも達する強烈な光で応答しています。大巻は、この魅惑的な光と、そこに文字通り吸い寄せられる人々の姿を通じて、エネルギーに過度に依存した今日の社会を批評しています。作品のタイトルは、フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの箴言集『重力と恩寵』に由来します。ヴェイユによれば、重力によって縛られた私たちは、真空を受け容れることにより、神から恩寵を得られるといいます。大巻は、この大きな光と影のインスタレーションをもとにしたフォトグラムの制作も予定しています。


展覧会のみどころ


1. 大巻の精神的深化を示すインスタレーション

本展覧会では、2016年に始まったシリーズ〈Gravity and Grace〉の最新バージョのほか、私たちはなぜ生きるかという根源的な問いに基づく新作も発表される予定です。

2011年の東日本大震災とそれに付随して起きた福島の原発事故は、大巻にも大きな衝撃を与えました。〈Gravity and Grace〉で大巻は、原子力という諸刃の剣を抱える私たちの社会を批評しています。また、近年、言語学の様々な領域の研究者にインタビューを重ねて、私たちの意識と切り離せない「言語」をリサーチするなかで、「生きるとはいかなることか」を考察してきました。その一つの現れとして、新型コロナウイルス感染拡大の時期に制作された、新作の映像インスタレーションが発表される予定です。本展覧会は、3.11とパンデミックに挟まれた約10年の間に大巻が探求してきた、文明と自然、生と死への考察の深化を示しています。


Gravity and Grace

Photo courtesy of A4 Art Museum



2. 巨大なインスタレーションと繊細なドローイング

本展覧会は、天井高8m、総面積2000m²の展示室で開催されます。大巻は、その空間的な広がりを最大限に生かした3つの大きなインスタレーションを構想しています。大巻が創り出す空間はしばしば、身体を凌駕する大きさの効果ともあいまって、そこに身を置く者に深い内省を促すような崇高な感覚を与えます。本展覧会には、この圧倒的な空間を創出するために大巻が無数に描き残してきたドローイングも展示されます。大巻はドローイングを通じて、その場に漂う気配をつかみとり、空間の広がりや運動、光と影の交差などを確かめてきたのです。ダイナミックなインスタレーションと繊細なドローイングの対比も、本展覧会の見どころのひとつです。

3. 他分野とのコラボレーション

空間における身体、また、他者との身体的関係に深い関心を寄せる大巻は、近年、「Rain」(2023年、愛知県芸術劇場、新国立劇場ほか)の舞台美術を手掛けるなど、演劇の分野にも活躍の幅を広げています。そもそも大巻のインスタレーションは、光と闇のコントラストや、舞台のような設えの空間に観者を導きいれる点で、演劇を強く想起させます。その空間に足を踏み入れる私たちは、観客であると同時に、大巻が立ち上げた世界の一員としての演者のようでもあります。展覧会会期中には、会場内でパフォーマンスも行う予定です。また、大巻が近年、言語に新たな着想を得ていることから、詩人の関口涼子とのコラボレーションも予定しています。関口の言葉が大巻のイメージの世界と並走することにより、そこに新たな深度が生み出されることでしょう。


Rustle of Existence

Photo courtesy of A4 Art Museum

 

【展覧会概要】

大巻伸嗣  Interface of Being 真空のゆらぎ

2023年11月1日(水)─12月25日(月)

国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)


[休館日]    毎週火曜日

[開館時間]   10:00─18:00

         ※毎週金・土曜日は20:00まで

         ※入場は閉館の30分前まで

[主催]     国立新美術館

         独立行政法人日本芸術文化振興会

         文化庁

[観覧料]    無料

[お問い合わせ] 050-5541-8600(ハローダイヤルÄb0)

[美術館HP]   https://www.nact.jp


写真の提供:大巻伸嗣

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