15メートルの超大作「地獄絵図」を燃やし、疫病退散と世界の安寧を祈る
書をベースに日本の伝統文化を再構築し、絵や立体造形などの手法も用いて新しい表現をしている書家・芸術家の紫舟が、初のNFT作品を発表します。
出品するのは、作品の“消失”。 コロナ禍で描いた「地獄絵図~四連作」という15メートルに及ぶ作品を燃やし尽くすことで、コロナの猛威の鎮静と、現在で世界で起きている地獄絵図と化すような事柄の終息、人の心の平安を願う。 NFT化するのは、この世から消え去った作品の画像。
コロナ禍、紫舟はアトリエを一時閉鎖し精力的に続けてきた制作を止めた。そして再び制作に着手したテーマが「地獄」だった。紫舟は「地獄」を描く心情をこのように語っている。
“未知なるウイルス”は、世界中の人を、「死」に直面させた。
命あるものはみな生まれては死ぬ。新しいものは古くなる。形あるものは朽ちる。それらが自然の摂理と知りながら、死への恐怖は尽きない。生きゆくわたしたちの先にある死への恐怖が無知からくるものであれば、その不安から解放されるには「何のために人は死ぬのか?」を知り考えることだと悟った。
「生きることに目的がある」ように「死ぬことにも目的」があるはず。
「人間とは?」「何のために死ぬのか?」その問いと、「命」と対峙する作品を制作する。
天平時代に、聖武天皇や僧侶たちが大仏建立に至った行動は「祈り」。
平安を失った人の心や行いを落ち着せ、死への恐怖を和らげる祈りの力は、アートにはある。
地獄絵は、仏教への帰依を促すために平安時代から描かれてきた。一方、紫舟の「地獄絵図」は、個人の存在を、個人の生という一回性から解き、より大きな繋がりの中で見つめなおすために描き上げた。その「地獄絵図」の画像のみが残りNFT上のデジタル作品となることで、作品そのものも物質性から解放され、鑑賞される場所の制限や、破損の恐れから自由になる。
個人の生を一回性から解き放つことを願って描いた「地獄絵図」を作家本人が消失させることは、「世界でいままさに起きている地獄の消失」と、人々が人間の必滅の摂理と向き合って自身の存在をとらえ直すことを願う究極の祈りである。作品の焼失を経て同様の祈りの行為は再現不可能となり、一方で祈りそのものはNFT作品が所有される限り時空を超えるものとなる。
なお、本作品の消失前に国内での展示を予定しています。
※作品のNFTのドロップ時期は後日発表いたします。
紫舟(シシュー) 書家/芸術家/大阪芸術大学教授
日本の伝統文化である「書」を、絵、彫刻、メディアアートへと昇華させ、日本の思想や文化を世界に発信。
海外では、フランス・ルーヴル美術館地下会場でのSNBA展にて書画で金賞、彫刻で最高位金賞を日本人初のダブル受賞し、「北斎は立体を平面に、紫舟は平面を立体にした」と評される。イタリア・ミラノ国際博覧会日本館のエントランス展示を手掛け、金賞を受賞。
日本では、天皇皇后両陛下(現、上皇上皇后両陛下)が『紫舟展』に行幸啓される。NHK大河ドラマ『龍馬伝』や『美の壺』、伊勢神宮『祝御遷宮』、明治神宮『明治神宮鎮座百年祭』。
HP: https://www.e-sisyu.com/ You Tube: https://www.youtube.com/c/sisyu8
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