フランス・ブルゴーニュ地方の老舗ドメーヌ、オリヴィエ・ルフレーヴ。その起源は約400年前にさかのぼります。1635年にコート・ド・ボーヌのピュリニー・モンラッシェのコミューンにてルフレーヴ家としてのワイン造りが始まり、現在はオリヴィエ・ルフレーヴとその娘のジュリー・ルフレーヴが、ブルゴーニュのワイン造りの長い歴史を紡ぐ一族の18代目と19代目を担っています。
1985年、父からドメーヌ・ルフレーヴを引き継いで3年が経った年、オリヴィエは現在の社名で新しく会社を設立しました。新ドメーヌ、オリヴィエ・ルフレーヴの目標は、より多様に富んだ種類のコート・ドール発白ワインを造り、メゾンの「作品集」を大きくすることでした。
鍵を握るワインづくりの伝統、メゾンの名を冠したワインの多様性、そして世界中から訪れる観光客にブルゴーニュのワイン造りを知ってもらうためにルフレーヴ家が丁寧に造り上げる体験について、オリヴィエとジュリーに話を聞きました。
多様性の中の創造性
オリヴィエが自分の名前で新会社を設立したのは、さまざまな種類のブドウを使ってワインで実験をしてみたい、という情熱から始まりました。 自社の名前のもとに造るワインの種類を増やし、この地域の豊かなテロワールの全体像を知る。そのためにブルゴーニュのあらゆる土地で新しいブドウ畑を買いつづけた結果、現在オリヴィエ・ルフレーヴでは、ブルゴーニュ地方の14の村で年間60万本、82の畑で82種ものワインを生産しています。
ブルゴーニュ地方、特にコート・ドールの美しさは、「畑の区画ごとに異なったブドウの味わいがある」ことだと話すオリヴィエ。
「さまざまな味や香りを心ゆくまで体験できるようになること、それが私の情熱です。それこそが、これだけ多様なワインを造ることにおいて私が愛することなのです。」
最近、オリヴィエはシャンパーニュでも実験をスタートさせ、2015年にシャンパーニュ、ヴァランタン・ルフレーヴを発売。この決断は彼にとって、「野心ではなく、好奇心」からきたのだそう。 「私が造るものの85%はシャルドネですが、私のコート・ドールでのワイン造りの技術を応用するのは面白そうだと思ったのです。」と話します。
ルフレーヴ家では、ワイン造りと肩を並べてアートへの愛が深く浸透しており、ワイン造りはまさにアートな創造活動のひとつなのだそう。オリヴィエもジュリーも音楽が好きで、時にはゲストの前で一緒に歌うこともあるそうです。
ワイン造りは作曲に例えることができる、と話すオリヴィエ。「良い音楽をつくるにはリズムを意識する必要があります。それと同じで、ワインを造るには天候を察知し、それぞれのテロワールの個性を理解しなければならないのです」。
芸術とも言えるワイン造りを続けてきた歴史
そんな一家の伝統と歴史はドメーヌでも重要な位置を占め、ワイン造りにおけるすべてのプロセスにインスピレーションを与えています。
伝統という言葉は、ブドウ畑そのものに言い換えることができる、とジュリーは言います。「ここのブドウ畑はみな、長い年月をかけて、今ある姿になりました。2000年以上という長い年月をかけて。だからこれからも、自然や時間、そして私たちの秘密を大切にしながら、同じように伝統を守っていきたいのです」。
「私たちは今も伝統を大切にしています。父、祖父やその祖父とまったく同じようにワインを造ることを心がけ、設備を除けば、新しいものは何もありません。」
「エレガンス、フィネス、そして複雑さを備えたワインにしたい。それが私たちが目指す3つのゴールです。」
現代のテクノロジーによって、ワインの瓶詰めなどワイン造りにおけるプロセスの一部は高速化されました。かつては1時間に100本しかできなかった瓶詰めプロセスは、テクノロジーの進歩により現在では1時間に2000本もできるそうです。
ホテル・オリヴィエ・ルフレーヴでのゲスト体験
ドメーヌ・オリヴィエ・ルフレーヴには、ブルゴーニュ地方に来て伝説のワインメーカーに会いたい、と願う観光客が世界中から絶えず訪れます。そんな来訪者をオリヴィエ本人は、ホテル・オリヴィエ・ルフレーヴにて快く迎え入れます。
オリヴィエは自ら、ワイナリーやセラーへ積極的にゲストを案内します。そうすることで特別な関係を築き、ゲストにより快適に過ごしてもらえるからだそうです。「私はこの土地を訪れてくれる皆さんが大好きです。世界中のどこからでも訪問してきてくれる方に会えるのは嬉しいし、私にとってもとても面白いのです。」
ルフレーヴ一家はゲストにブルゴーニュのさまざまな魅力を伝え、オリヴィエ自身が恋に落ちたように、ゲストもブルゴーニュに恋に落ちることを手助けしてくれます。
「訪れてくれた皆さんが母国に帰り、そこでレストランやワイナリーに行ったとき、フランス旅行でのこの素晴らしい体験を思い出してもらいたい。そう思って、ゲストを迎え、一番良いブルゴーニュを伝えるためにベストを尽くしています。」
またジュリーによると、オリヴィエ・ルフレーヴ一家の伝統をゲストに伝えることも、大切なことのひとつだそう。「ブルゴーニュに来る人は、ルフレーヴ家に会いたい、生きる伝統を見たい、と思うものです。 だから大切なのは、リアルな体験を十分にしてもらうこと。私たち一家のことをたくさん知ってもらうことで、ゲストもまるで自分が一家の一員になったかのように感じることができると思うのです。」
ゲストが最高の時間を過ごせるよう、ホテルでは「食」「ワイン」「観光」の3つの体験ができるようになっています。食事は、近々オープンするレストラン・クリマにて楽しむことができ、またオリヴィエ本人と一緒に、オリヴィエが選んだワインを楽しみながらブドウ畑やセラーを見学することもでき、そこでもオリヴィエ本人が喜んでゲストへワインの説明をしてくれます。
ワイナリーに最近加わったもうひとつの体験が、電動自転車の「ワインバイク」。電動自転車が10台用意されており、ゲストはこれに乗ってブドウ畑や村々を見て回ることができる新たな体験です。
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