新国立劇場バレエ団が誇る演目『ジゼル』が、2024年4月に東京・新国立劇場オペラパレスで上演され、7月にはイギリス・ロイヤルオペラハウスでの海外公演が予定されています。本作は、2022年に吉田都芸術監督が初めて演出を手掛け、大きな話題を呼んだ作品の再演。英国ロイヤルバレエでも活躍した振付家アラスタ―・マリオットとともに、ロマンティック・バレエの名作を新たな解釈で生まれ変わらせました。

新国立劇場バレエ団『ジゼル』メインポスター
演劇的な深みを増した『ジゼル』
吉田都芸術監督は、ロマンティック・バレエの幽玄な美しさを保ちつつ、登場人物の心情や物語の背景を丁寧に描き出し、ドラマティックな舞台へと昇華させました。伝統的なブリティッシュ・バレエの流れを汲みながらも、新国立劇場バレエ団ならではの個性が光る作品に仕上がっています。
美しくも幻想的な舞台美術と照明
舞台美術を担当するのは、ディック・バード。彼は本作の舞台となるヨーロッパの歴史や文化を細かく研究し、物語の世界観を深めるセットをデザインしました。特に印象的なのは第2幕の墓地のシーン。リトアニアの「十字架の丘」から着想を得たセットは、ジゼルと同じく若くして命を落とした女性たちの悲しみを象徴しています。
また、リック・フィッシャーによる照明も見どころの一つ。月明かりが幻想的に差し込む場面や、アルブレヒトが救われる夜明けの光など、繊細なライティングが物語の感動をさらに高めます。
『ジゼル』のあらすじ
物語は、中世ドイツの村を舞台に、村娘ジゼルと公爵家の王子アルブレヒトの悲恋を描きます。身分を偽りジゼルに近づいたアルブレヒトですが、彼が貴族であり、すでに婚約者がいることが発覚。衝撃の事実を知ったジゼルは心を打ち砕かれ、命を落としてしまいます。
第2幕では、ジゼルの魂がウィリ(裏切られて亡くなった娘たちの精霊)の仲間となり、墓地に現れます。彼女を追ってきたアルブレヒトは、ウィリたちによって死ぬまで踊らされそうになりますが、ジゼルの愛によって救われます。最後には、ジゼルは彼を許し、自らの墓へと帰っていくのです。

前回公演より撮影:鹿摩隆司
世界へ羽ばたく新国立劇場バレエ団
4月の国内公演に続き、7月にはロイヤルオペラハウスでの海外公演が決定。日本が誇るバレエ団が世界の舞台でどのような評価を受けるのか、期待が高まります。吉田都芸術監督の情熱が注ぎ込まれた『ジゼル』が、観る者の心を震わせることは間違いありません。伝統と革新が交錯する新たな『ジゼル』を、ぜひ劇場で体験してみてはいかがでしょうか。
新国立劇場バレエ団『ジゼル』
公演日程:
4 月 10 日 (木) 19:00
4 月 11 日 (金) 14:00
4 月 12 日 (土) 13:30/18:00
4 月 13 日 (日) 13:30
4 月 18 日 (金) 19:00
4 月 19 日 (土) 13:30
4 月 20 日 (日) 14:00
会場: 新国立劇場 オペラパレス
住所:〒151-0071 東京都渋谷区本町1丁目1番1号
画像の提供:新国立劇場バレエ団