アジアにおけるLGBTQ+と平等の推進活動で有名なパトリック・サン氏が、現代アートが社会的対話に与える深い影響について、ART SG 2024で意見を共有しました。彼は、芸術的表現の追求とLGBTQ+の権利の推進を絡め合わせ、両領域において影響を持つ人物として知られています。
COURTESY OF SUNPRIDE FOUNDATION
背景
パトリック・サン氏の影響は、「ArtReview’s Power 100 List 2020」へのランクイン、2021年より任命された「The M+ Council for New Art」での任務などから、明白に示されています。彼が創設したサンプライド財団は、台北当代芸術館(2017)、バンコク・アート・アンド・カルチャー・センター(2019-20)、及び大館(2022-2023)など、アジア全域でクィアに焦点を当てた展示会を主催する際に重要な役割を果たしてきました。また、最新の「神話製造者—Spectrosynthesis III」は、ARTnewsのアジアのトップ展覧会(2023)で2位にランクインしました。
社会問題の解決に取り組む現代アートの役割をどのように捉えていますか?
パトリック・サン:私にとって、アートは社会的対話のための平和的で影響力のある方法です。アートは対立を生むのではなく、心と心を開く上で非常に効果的なのです。私は展覧会を通して様々な聴衆と関わることが大好きです。なぜなら、アートは単なる声明表示ではなく、理解と受容への重要な一歩である会話を生み出すからです。
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アートがLGBTQ+に対する社会の流れに影響を与えた具体的な例を挙げていただけますか?
パトリック・サン:シンガポールのアーティスト、ジミー・オン(Jimmy Ong)の作品、特に私たちの台湾での展覧会での彼の作品は、絶大な社会的影響力を誇りました。彼の作品は、誠実さと優しさでゲイの親子関係を描き、同性カップルとその子供たちを描写しています。この作品は、LGBTQ+コミュニティにおける家族の概念について議論を生みました。
私は今でも、ある若い母親がジミー・オンの作品を見ているときに、彼女の息子から2人の男性と赤ちゃんの描写について尋ねられた感動的な瞬間を思い出します。母親は子供と目線を合わせて、男性が男性を愛したり、女性が女性を愛したり、男性が女性を愛したり。愛と家族には様々な形があることを説明していました。オンのアートによって生まれたこの相互作用は、アートが教育へと繋がり、LGBTQ+に関する理解を深めるための効果的な方法であることを示す印象的な例です。
アジアのアートについて、今後のトレンドをどのように予測していますか?
パトリック・サン:アジアのアートは国際舞台での勢いを増しています。これを推進する要因は、経済成長、文化交流、各地域の豊かな芸術伝統への認識の高まりなど、非常に多面的です。M+を筆頭に、様々な機関が世界的にアジアのアートを再定義しています。私は、以前は疎外されていたアーティストや物語を焦点に当てることで、より多様な表現が生まれるのではないかと予測しています。
アジアのアーティストをさらに促進するためには何が必要でしょうか?
パトリック・サン:コミュニティの関与が不可欠です。シンガポールのような場所では、アートコレクターや愛好家が活気あるアートシーンを作り出す上で重要な役割を果たしています。またこの点では、博物館も重要で、文化のハブとして機能するだけでなく多様な芸術作品を展示しています。
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サンプライド財団の将来の計画は何ですか?
パトリック・サン:財団は、アジアの人々と共鳴する展覧会に焦点を当て続けるでしょう。私たちは欧米諸国からも展示を依頼されていますが、私たちの目標はLGBTQ+の権利についての会話が最も必要とされているアジアに焦点をおくことです。私たちは、アジアでの展覧会を通じて固定概念に挑戦し、LGBTQ+に関する多様な理解を促進を目指しています。
展覧会一つひとつは旅であり、学習経験です。来場者との会話、彼らの質問や誤解への対応は実りある体験です。例えば、ある老婦人にゲイは単なる流行かと尋ねられたことがあります。このように、教育と啓発のための媒体としてアートを使用し、見慣れないものを見慣れたものに変え、疎外された人々に声を与えることこそが、私たちの使命なのです。
パトリック・サン氏の、LGBTQ+のための社会変革の伝道者としてアートを使用する取り組みは、希望と進歩の道を辿っています。サンプライド財団における彼の仕事は、アジアのアートシーンを豊かにし、受容、多様性、および人権に関する重要な会話を発生させました。彼の継続的な努力は、アートを一種の教育方法として使用し、より包括的で共感的な社会の育成を目指しています。
サンプライド財団
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