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Gen de Art

「アート・バーゼル・パリ2024」の新たな革新

展示ディレクターのクレマン・ドゥレピーヌ氏が、第三回目となるアート・バーゼル・パリ2024の見どころと、現代アート体験を再定義する試みについて語ります。

 

アート・バーゼル・パリ2024は、新たな会場と革新的な部門、そして刷新されたアイデンティティを取り入れ、刺激的な新時代の到来を告げます。適格なリーダーシップで3年目のフェアを導くクレマン・ドゥレピーヌ(Clément Delépine)氏は、今回のアート・バーゼルが現代アートの変革点になると言います。10月18日から20日にかけて、改装されたばかりのアイコニックなグラン・パレで開催されるこのフェアは、「アート・バーゼル・パリ」と改称され、42の国と地域から194の著名なギャラリーが参加します。ここにはフランスに拠点を置く64のギャラリーが含まれているほか、2023年版と比べて全体のギャラリー数が40増加したことを意味します。

 

特に期待されている革新の一つは、Premise:前提、根拠部門の導入です。これは他に類を見ないような試みで、キュレーションの自由を提供し、伝統的なアートの見せ方の境界を押し広げることを目指しています。ドゥレピーヌ氏のアート・バーゼル・パリ2024に対するビジョンは、今回も驚きに満ちており、その創造的な精神によって後押しされています。ドゥレピーヌ氏は、本誌との対話の中で、アート・バーゼル・パリ2024を特徴づける独自の要素や、参加者が心待ちにする革新的な特徴を深めつつ、今年のフェアに対する見解と抱負を語ってくれました。

 

Show Director Clément Delépine, Art Basel Paris  Photo by Matthieu Croizier  Courtesy of Art Basel

展示ディレクターのクレマン・ドゥレピーヌ

Photo by Matthieu Croizier

Courtesy of Art Basel


アート・バーゼル・パリ2024に対するご自身のビジョンについて詳しく教えてください。また、過去のフェアとどのように差別化しようとしているのかについてもお聞かせください。

私たちの全ての取り組みは、建築および会場のコンテクストとそれに対する反応に大きく依存しています。今年は会場を変更できる特権を享受したので、出展者にとってより多くのスペースを提供し、より包括的なフェアを構想するチャンスが生まれます。また、招待するギャラリーの地理的な範囲を拡大し、評価されていない新しい実践を紹介しようと考えています。例えば、タケ・ニナガワ(Take Ninagawa)、タカ・イシイギャラリー(Taka IshiiGallery)、MISAKO&ROSEN、ファーガス・マカフリー(Fergus McCaffrey)、KAYOKOYUKIなど、日本のギャラリーを増やし、主要部門やテーマ別の展示部門に追加することで、日本のような地域の存在感を高めようと試みています。

 

また、会場を象徴的なグラン・パレに移すことで、フェアを再定義することが可能になりました。2年間の試行錯誤を経て、どのコンセプトがパリで根付いてきたかが見えてきましたし、グラン・パレ・エフェメールからグラン・パレへ移行することにより、ホスピタリティとフェアの全体コンセプトを再考し、新しい部門を追加する機会を得られました。今年のフェアはより大胆で、より確立されたものとなり、過去のエディションと似ている部分、そして非常に異なる側面を持ちながらも高い水準と品質を保つ、アート・バーゼルのイベントの本質を真に体現するものになるでしょう。

 

アート・バーゼル・パリ2024では、ギャラリーや来場者の体験をより充実させるために、どのような新機能や革新が導入されていますか?

私たちは、キュレーションの自由を実現する空間を創ることを目指し、「Premise」部門を設けました。「Premise」という言葉は、議論の始まりやアイデアの発端を意味します。私たちは、ここ部門設立を祝い、特定の関心を持つテーマプロジェクトのための空間を設置し、アート・バーゼルで展示される作品やオブジェクトの種類を拡げたいと考えています。

 

「Premise」部門では、1900年以前に制作されたものを含む幅広いオブジェクトやアート作品を展示することができます。これはアート・バーゼルにとって新しい試みです。なぜなら、バーゼルにおける同様の部門では、1900年以降に制作された作品のみが展示作品として認められているからです。例えば今年は1800年代後半に制作されたアンリ・ルソーの作品を特集できるようになりました。

 

パリでアート・バーゼルを開催することが、パリの国際的なアート市場における中核的なプレイヤーとしての地位を確立するのに、どのように貢献したのでしょうか?

アート・バーゼルのフェアは、名だたるコレクターや機関、すなわち名作や高価な作品を購入する資金力を持つ人々を惹きつけることで知られています。私たちは、フェアで展示される作品の平均価格が上昇していることを確認しています。ギャラリーに可能な限り最高のサービスを提供し、イベントをより充実させることが私たちの使命でもあります。

 

この取り組みは、パリとフランスを、現在の姿、つまり世界で4番目に大きな市場にしたパリのギャラリーの活動を支えています。私たちの役割は、これらの努力を支え、パリをヨーロッパおよびそれ以外の地域においても、真の文化の都として再定義することです。それは私たちだけで成し遂げるものではなく、共同の努力と星の巡り合わせによるものです。

 

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