国立新美術館は2025年秋、香港のM+との共同企画による展覧会「日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)」を開催します。本展は、日本の美術に関する初の国際的なキュレーション協力として注目を集めています。
Reference Image: Tatsuo Miyajima, Mega Death, 1999 ©Tatsuo Miyajima, ©Estate of Shigeo ANZAÏ, 1999. Courtesy of ANZAÏ Photo Archive, The National Art Center, Tokyo
展覧会では、平成元年である1989年から東日本大震災が発生した2011年までの約20年間に焦点を当て、日本の現代美術の動向を多角的に検証します。この期間は、グローバル化の進展とともに国境を越えた芸術活動が活発化し、日本の美術界にも大きな変化が訪れた時期でした。
展示は「アイデンティティ」「記憶と反記憶」「関係のネットワーク」(仮)という3つのテーマで構成されます。「アイデンティティ」のセクションでは、伝統と革新の融合、文化やジェンダーの多様性、若者文化や大衆文化の影響など、複雑に変化する日本の現代美術の姿を紹介します。
「記憶と反記憶」では、個人的あるいは集合的な記憶に焦点を当て、歴史の真実性や権力構造をめぐる問題提起を行う作品を展示します。これまで十分に語られてこなかった歴史の層を掘り起こし、新たな視点から検証を試みます。
「関係のネットワーク」のセクションでは、アーティスト、地域社会、国際的なアート・コミュニティによる多様なコラボレーションに注目します。この時期に築かれた異文化間の交流ネットワークが、現代の社会参加型アートの基盤となっていった過程を紹介します。
Reference Image: Kodai Nakahara, Untitled (Lego Monster), 1990, ©Kodai Nakahara, ©Estate of Shigeo ANZAI, 1990, Courtesy of ANZAI Photo Archive, The National Art Center, Tokyo
本展は、国内外で活躍する日本人アーティストに加え、日本と関わりを持つ海外アーティストの作品も多数展示します。日本美術を「特異」なものとする従来の固定観念を超え、複数の歴史と文脈が共存する多元的な存在として捉え直すことを目指しています。
日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)
会期:2025年9月3日(水)~12月8日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
(〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2)
共催:M+
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