写真家・映画監督として国内外で活躍する蜷川実花氏の関西最大規模となる展覧会「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」が、2025年1月11日から3月30日まで京都市京セラ美術館で開催されます。
本展は、蜷川氏がクリエイティブチームEiM(エイム)とともに手掛ける新作を中心としたインスタレーション展示です。10話におよぶ「絵巻体験」として構成され、京都国際観光大使も務めた蜷川氏が、古都・京都からインスピレーションを得た新たな世界観を展開します。パンデミックや世界における紛争など、混沌とした現代において、人々は自分自身と向き合う時間の大切さを再認識しています。本展では、鑑賞者自身が物語の主人公となり、アーティストの内面を通して自己の存在や周囲の世界と向き合う、独特な体験の場を提供します。
クリエイティブチームEiMは、蜷川実花氏を中心に、データサイエンティストの宮田裕章氏、セットデザイナーのENZO氏、クリエイティブディレクターの桑名功氏、照明監督の上野甲子朗氏らで構成されています。これまでに「胡蝶の旅 Embracing Lights」(2022年)や「残照 / Eternity in a Moment」(2023年)など、数々の意欲的なプロジェクトを手掛けてきました。各メンバーの専門性を活かしながら、プロジェクトごとに多様なチームを編成し、革新的な表現に挑戦し続けています。
蜷川氏は本展について「これまでも様々な作品に込めてきた『虚構と現実』『こちら側とあちら側』『光と影』といったテーマを探求しながら、境界線を越えたり、境目が揺らいで融合したりする体験を提供したい」と語ります。また、「より深く自分の中に潜っていけるような、新しい扉を開くようなイマーシブ体験を創造します」と意気込みを示しています。
共同キュレーターを務める宮田裕章氏は「来場者の皆さんが巡る深淵は、誰もの心象風景にあるようで、しかし誰も見たことがない――そんな感覚を呼び覚ます空間です」と説明します。「時間の揺らぎの中で、多様な色彩をまとう光と影が現れます。生と死、儚さと普遍、諦観と希望などが交錯する体験は、心の中を巡る旅でもある」と本展の特徴を語り、視覚的な美しさにとどまらない、存在や死生観に触れる深い体験となることを期待しています。
また、京都市京セラ美術館事業企画推進室ゼネラルマネージャーの高橋信也氏は「蜷川実花の視覚表現は、展覧会を重ねるごとに明らかに進化している」と評価。「永い歴史を飲み込んで、様々な伝統文化のインキュベーションともなった京都で、観客は『此岸』と『彼岸』をめぐる、新たな『薄明』の物語を目の当たりにすることだろう」と期待を寄せています。
蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影
会期:2025年1月11日(土)〜3月30日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ (京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間:10:00〜18:00(最終入場17:30)
休館日:月曜日(祝・休日の場合は開館)
画像の提供:京セラ美術館
Comments