11月26日(火)から12月14日(土) にかけて、彫刻家・板東優氏の展覧会「Self-Anatomy」がメグミオギタギャラリーで開催されます。本展では、線描の人物画に新たな彩色を施した解剖学的な平面作品を中心に、ブロンズ像や立体の小品など、多岐にわたる作品が展示されます。
Masaru Bando, Self-Anatomy, 2020-2024, 39.5 x 27 cm, Watercolor, sumi ink, white sumi ink, pigment on paper
1952年北海道生まれの板東氏は、東京造形大学在籍後にイタリアへ渡航し、1974年から2年間ローマアカデミア エミリオ・グレコ教室で学び、現地の彫刻家に師事しました。その後、ローマ、ニューヨーク、そして北海道音更町(おとふけちょう)を拠点に半世紀にわたって精力的な創作活動を続け、多くの美術館や公共施設に作品を残しています。
板東氏の作品の特徴は、平面と立体、抽象と具象を自在に行き来しながら、対象に内在する生命力を表現することにあります。特に踊る人物像のシリーズでは、一つの対象に対して膨大な量のドローイングを重ね、繰り返し描かれた線が作家の内に蓄積されることで本質を捉え、それが彫刻や絵画として結実していきます。作品の背景には社会的な出来事や作家自身の関心事が存在しますが、普遍的な表現へと昇華されることで、鑑賞者との概念の共有を可能にしています。
制作において特筆すべきは、板東氏が経験に頼らない姿勢を貫いていることです。「自分に都合の良い表現、色彩を持たない」という信念のもと、数十年にわたって毎朝外に出て、夜明けとともに輪郭を現す自然の姿を描き続けています。音更町の風景を描く際の心情を、板東氏は次のように語ります。「あの枝はどうなっているのかなど、様々な疑問が出てきます。次の展開を観察するために描いています。自分の視点が川沿いまで行き、奥行きが見えたら筆を置きます。地平線を見ていても、季節や日によって全く印象が違います。その日その日の自分を測るために描いています」。
Masaru Bando, Self-Anatomy, 2000, 112 x 76 cm, Graphite, sumi ink on pape
本展覧会では、過去に制作した線描の人物画に新たな彩色を加えることで、空間と対象の関係性を再解釈した作品群を中心に展示されます。会場では、断片の集積から万物の真理に迫ろうとする彫刻家の軌跡をたどると共に、創造の現場に立ち会うような高揚感を体験が期待できます。
Self-Anatomy
会期:2024年11月26日(火)~12月14日(土)
オープニングレセプション:11月26日(火) 17:00-19:00 ※作家在廊予定
開館時間:12:00-18:00
休館日:日曜・月曜
会場:メグミオギタギャラリー
(東京都中央区銀座2-16-12 B1)
ウェブサイト:https://www.megumiogita.com/
Comments