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Gen de Art

世界が直面する様々な課題に写真で向き合う - KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025、テーマは「HUMANITY」

日本有数の国際的な写真祭として知られるKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭が、2025年4月12日から5月11日まで開催されることが発表されました。第13回目となる今回のテーマは「HUMANITY」。人間の本質や関係性を探求する世界10カ国から13組のアーティストによる作品が、京都の歴史的建造物や現代建築の空間で展示されます。


The Matterhorn, Alps, 1990© Martin Parr/Magnum Photos

The Matterhorn, Alps, 1990

© Martin Parr/Magnum Photos


これまでに約186万人を動員してきた本フェスティバルは、2024年には27万人以上の来場者を記録。独立系アートフェスティバルとして、その規模と質の高さを年々拡大させています。今回のテーマ「HUMANITY」は、現代社会が直面する複雑な課題に対して、人間が持つ愛や共感、そして危機を乗り越える力に焦点を当てています。特に注目すべきは、日本と西洋という異なる文化的視点から人間性を捉える試みです。日本的な視点からは、他者との関係性や自然との調和が重視され、一方で西洋的な視点からは、個性や自由、普遍的な道徳原理が強調されます。


© Pushpamala N

Motherland: The Festive Tableau, 2009 © Pushpamala N


The Chronicles of San Francisco, Lightbox, USA, 2018 © JR

The Chronicles of San Francisco, Lightbox, USA, 2018 © JR


今回の参加アーティストたちは、それぞれ独自の視点から人間性の多様な側面に迫ります。インドのプシュパマラ・Nは、植民地主義やジェンダーの問題を自身の身体を通じて表現し、フランスのJRは市民参加型の大規模な写真プロジェクトで京都の人々の関係性を描き出します。メキシコを代表する写真家グラシエラ・イトゥルビデは日本初の大規模個展を開催し、沖縄を拠点に活動する石川真生は、1970年代の米軍基地周辺の生活から現在進行中の離島での撮影まで、時代を超えた人々との関わりを提示します。


イギリスのマーティン・パーは独特の視点でマスツーリズムを捉え、フランスのエリック・ポワトヴァンは自然と人体を通じて古典的なテーマを再解釈します。パレスチナ系アメリカ人のアダム・ルハナは、個人的な記憶を通じて現代のパレスチナを描き、日本の𠮷田多麻希は人間と自然の関係性を問い直します。


リー・シュルマンとオマー・ヴィクター・ディオプは、1950 60年代のアメリカの人種差別時代の写真を現代的に再解釈し、レティシア・キイは髪の彫刻を通じて文化的アイデンティティを表現します。

日本の甲斐啓二郎は世界各地の伝統的な格闘的祭事を通じて人間の本質に迫り、アイルランドのイーモン・ドイルは家族の喪失という普遍的なテーマを写真と音楽で表現します。台湾の劉星佑は同性婚をテーマに、現実と幻想が交錯する作品を展開します。



本フェスティバルでは展示以外にも、アーティスト・トーク、ワークショップ、映像上映など多彩なプログラムが用意されています。次世代育成を目指すキッズ・プログラムや、写真家の成長を支援するポートフォリオ・レビュー、マスタークラスなども開催されます。


また、姉妹イベントとしてKYOTOPHONIEボーダレスミュージックフェスティバルが同時期に開催され、サウンドとパフォーマンスを通じて写真祭のテーマを拡張します。さらに、サテライトイベントのKG+では、新進気鋭の写真家やキュレーターの作品が市内各所で展示されます。2025年のKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭は、人間の営みの多様性と複雑性を照らし出し、現代社会が直面する課題に対する新たな視座を提供します。

 

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭 2025


会期:2025年4月12日 (土) 5月11日 (日)


パスポートチケット: 一般 6,000円(前売り5,500円) 学生 3,000円(前売りも同額)


ウェブサイト:https://www.kyotographie.jp/

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