KOTARO NUKAGAギャラリー(六本木)は、2024年6月8日から7月31日まで「Materiality and Language: Explorations in Form and Meaning」と題したグループ展を開催中です。本展は、世界で最も影響力のある美術アドバイザーの1人として知られ、メキシコシティのジュメックス美術館の創設に重要な役割を果たしたエステラ・プロバス氏がキュレーションを務めます。
展示では、ステファン・ブルッゲマン氏、ホセ・ダヴィラ氏、リクリット・ティラヴァーニャ氏、マイケル・リキオ・ミング・ヒー・ホー氏、アマドゥール氏の5名の国際的アーティストの作品が紹介されます。これらのアーティストたちは、現代アートにおける物質性と言語の役割を多角的に探求し、従来の芸術表現の枠組みに挑戦しています。本展では、アートとその物質的本質の多面的な関係性を探究することを目的としています。物質性は単なるモノの物理的特性にとどまらず、時間や状況といった文脈とも深く結びついていることが強調されます。プロバスのキュレーションによって、鑑賞者は作品を通じて、視覚、言語、空間的次元を横断する対話に誘われます。
リクリット・ティラヴァーニャ氏の作品は、美術の伝統的な素材と現代的、時には工業的な素材を組み合わせる手法が特徴的です。彼の新聞を使用した絵画は、私たちを取り巻く物質世界がいかに集団的・個人的な経験に影響し、また影響されるかを探求する媒体となっています。新聞という儚い素材を用いることで、情報化時代の精神を捉え、メディアと情報が現実認識の形成に果たす役割について考察を促しています。
アマドゥール氏は、金箔を施したハードエッジの絵画を通じて、絵具とキャンバスの物質性と音と空間の非物質性が交錯する共感覚的な視点を「物質性と言語」というテーマに持ち込んでいます。金箔はカリフォルニアの太陽を象徴すると同時に、アメリカ西部の歴史を反映しています。
ホセ・ダヴィラ氏の作品には、バランスと緊張のせめぎ合いが見られ、現代社会の不安定さを反映しています。彼は基本的な幾何学的要素を用いて、空間認識を作品に取り入れ、安定性や永続性の概念に疑問を投げかける構造物を生み出します。石、セラミック、ガラス、金属、コンクリートなどの素材を不安定な均衡で配置し、調和と無秩序、脆さと抵抗の間に生まれる緊張関係を探求しています。
ステファン・ブルッゲマン氏は、テキストと言語を物質的な要素として扱い、私たちの空間とコミュニケーションに対する認識を揺るがす作品を制作しています。金箔やスプレーペイントを用いた彼の作品は、デジタル時代の情報過多に真正面から向き合い、言葉の政治性や真実と誤情報、メディアの影響力に関する複雑な問題の再考を促しています。
マイケル・リキオ・ミング・ヒー・ホー氏は、象徴的なイメージと太字のテキストを組み合わせた作品を制作しています。個々の言葉は挑発的または対立的ですが、組み合わされることで曖昧で複雑な意味合いを帯びます。この独特な融合が、不条理で滑稽な社会風刺を生み出し、鑑賞者にそれぞれの解釈を促します。
本展は、急速にデジタル化が進む現代社会において、物質性と言語が現代アートの表現と認識の主要な要素としてどのように機能するかを探求する貴重な機会を提供しています。各アーティストの独自のアプローチを通じて、物質の静的な性質だけでなく、その生成される言語的・視覚的対話がいかに私たちの経験と認識を形成するかを見ることができます。
Materiality and Language: Explorations in Form and Meaning
開催期間:6月8日ー7月31日
場所:KOTARO NUKAGA
(〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2階)
回廊時間:11:00-18:00(火ー日)
※日月祝休廊
ウェブサイト: https://kotaronukaga.com
写真の提供:KOTARO NUKAGA
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