2023年12⽉10⽇(⽇)から12⽉17⽇(⽇)まで、草場⼀壽工房が東京・BANK GALLERY にて、新作展『〜Rainbow Dragon & Dragon Ball〜虹⿓と宝珠』を開催。過去最⼤級となる本展覧会では、来年の2024年の⼲⽀「⾠」にかけ、草場氏がこれまでに描き続けてきた「⿓」をモチーフにした作品と、名古屋・⼤阪での展⽰会でも⼈気を博した「神話シリーズ」や「菩薩シリーズ」などの作品が一挙公開されました。「Gen de Art」は展覧会の開催に則し、作家の草場⼀壽氏に新たな取り組みや今後のプロジェクトについてお話を伺いました。
龍に魅せられ、龍を描くことを⽬指した草場氏は、陶彩画で描きたいと想い続けてきた「虹の⿓」を今年ついに完成させました。歴代で最も美しい背景⾊を持つと⾃負する『虹⿓〜宝珠を得たり〜』は、世界中の美しい空を凝縮したような⾊の中で、舞うように楽しげに如意宝珠を浮かべる虹⾊の⿓が描かれています。また、『富⼠に虹⿓〜希望の地へ』では、霊峰富⼠を越えて優雅に⾝をくねらせながら⾃由⾃在に舞う姿が描かれ、苦難を乗り越え、まるで全てを⼿中に収めたかのような堂々とした⾵格が感じられます。
「三十数年前、世界で初めて新しい試みとして角度によって変化する焼き物を完成させました。焼き物を15回も窯に入れて焼くことは常識では考えられないことだったと思います。沢山焼けば良いというわけではなく、最終的には人の心を打つ作品であること。その為には、まず自分の心が打たれなければいけません」
来年2024年は、60年に一度の甲辰(きのえたつ)の年。甲辰は、新しく物事が進展していく年であり、草場氏はこのタイミングで龍を描くことで経済や人々の幸福、人の心を前向きに変化させるようなひとつの大きなきっかけにしたいと言います。また、何が正義で何が邪悪かを追求するのではなく、新しいアイデアを大切にすべきという草場氏自身の思いや願い、世の中に対する見方を龍の中に込めて描いたそうです。
作品名︓『富⼠に虹⿓~希望の地へ』
サイズ︓1,000mmÅ~750mm
多彩な才能が織りなす「いのち」への深い対話
草場氏は、画家としてだけでなく、絵本作家や映画監督、空間プロデューサーなど多岐にわたる背景を持っていますが 、それらがどのように現在の仕事へと影響を及ぼしているのでしょうか。
「絵本を出してから、今年でちょうど20周年を迎えます。教科書を通じて私の絵本を読んでくれた方も、現在は20歳を超えますね。世界出版もしましたし、毎年私の絵本が載った教科書は全国で90%シェアしていると言われていまし
たので、物語仕立てで当たり前のことを伝え直していました。みんな、私たちの命がどこからきたか、私の心臓を動かしているのは誰かすら忘れているんです。こうした当たり前ですが、誰もが忘れていることに気づける絵本を作れてよかったと思っています」
アプローチ方法は違えど、現在も昔も「いのち」をテーマにした作品を制作してきた草場氏。絵はあくまで表現手段であり、「いのち」の根源や存在理由などを人々に再認識してもらうことが真の目的だと言います。絵本作家以外にも、空間プロデューサーとして東京のロイヤルパークホテルや丸の内ホテルなど、数々のコンセプトルームの制作に携わってきました。これらの取り組みについて、「全てがエネルギーだと思っていて、色から来るエネルギーもあれば形から来るエネルギーもあります。そうした中で、私は元気と安らぎをテーマに活動をしているので、ホテルの空間作りが現在の展覧会のレイアウト等にも何らかのかたちで影響を与えていると思います」
作品名︓『⿓聖⺟』
サイズ︓1,000 mm Å~ 635 mm
未知への一歩
長年龍を描き続けてきた草場氏は、来年からアートスクールを立ち上げたいと考えているそうです。「やはり、僕たちはクリエイティブこそ人間の1番素敵なところだと思うんです。絵を描けない人が多いですが、それは上手な人と比べるから描けなくなるだけで、自分の絵は自分の絵。それをダメだと思い込んでいる壁を外してあげるスクールです。それは自分自身と必ず一度は対面しないといけないし、自分という存在を錯覚で見ているので、錯覚から目を覚ませてあげることがアートスクールの目的です」
積極的に新しい取り組みを行うことで、長年作家としての活動を続けてきた草場氏。その背景には、「いのち」への揺るぎない関心や確立した道徳的見解があります。来年2024年は甲辰の年を迎え、アートスクールをはじめ、草場氏にとっても前向きな変化が訪れるに違いありません。
開催概要
草場⼀壽 2023年 陶彩画新作展 東京 『〜Rainbow Dragon & Dragon Ball〜虹⿓と宝珠』
会期
2023年12⽉10⽇(⽇)〜12⽉17⽇(⽇)
会場
BANK GALLERY (〒150-0001 東京都渋⾕区神宮前6-14-5)
開館時間
10:00〜18:00(最終⽇は17:00 まで)
⼊場料
無料(ご予約不要)
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