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杉本博司の「本歌取り」展:松濤美術館で新作を展示

杉本博司氏(1948~)は、和歌の伝統技法「本歌取り」を日本文化の本質的営みと捉え自身の作品制作に援用しています。今回、2022年に姫路市立美術館で行われた「本歌取り」展が、渋谷区立松濤美術館で「杉本博司 本歌取り 東下り」として新展開を迎えます。会期は9月16日〜11月12日です。


杉本博司 《カリフォルニア・コンドル》 1994年 ピグメント・プリント 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

杉本博司

《カリフォルニア・コンドル》 1994年

ピグメント・プリント 作家蔵

©Hiroshi Sugimoto


本歌取りとは、本来、和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌(本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌を作る手法のことです。作者は本歌と向き合い、理解を深めたうえで、本歌取りの決まりごとの中で本歌に匹敵する、あるいはそれを超える歌を作ることが求められます。


西国の姫路で始まった杉本の本歌取り展は、今回、東国である東京の地で新たな展開を迎えることから、「本歌取り 東下り」と題されました。本展を象徴する作品である《富士山図屏風》は、東国への旅中に、旅人が目にする雄大な富士山を描いた葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした新作で、本展で初公開となります。またこの他にも、書における臨書を基に、写真暗室内で印画紙の上に現像液又は定着液に浸した筆で書いた《Brush Impression》シリーズなど、本展は新作を中心に構成される一方、中国宋時代の画家である牧谿の水墨画技法を本歌取りとした《カリフォルニア・コンドル》など、杉本の本歌取りの代表的作品も併せて展示します。さらに、室町時代に描かれたと考えられる《法師物語絵巻》より「死に薬」を狂言「附子」の本歌と捉え、その他の8つの物語と共に一挙公開致します。


現代の作品が古典作品と同調と交錯を繰り返し、写真にとどまらず、書、工芸、建築、芸能をも包み込む杉本の世界とその進化の過程をご覧ください。


初公開作品  杉本博司 《富士山図屏風》  2023年 ピグメント・プリント 作家蔵  ©Hiroshi Sugimoto

初公開作品

杉本博司 《富士山図屏風》

2023年 ピグメント・プリント 作家蔵

©Hiroshi Sugimoto



新作 杉本博司 《Brush Impression 0625「火」》 2023年 銀塩写真 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

新作

杉本博司 《Brush Impression 0625「火」》 2023年 銀塩写真 作家蔵

©Hiroshi Sugimoto



杉本博司《相模湾、江之浦》

2021年1月1日 ピグメント・プリント 作家蔵

©Hiroshi Sugimoto

 

Information 杉本博司 本歌取り 東下り

会期:2023年9月16日〜11月12日(前期9月16日〜10月15日、後期10月17日〜11月12日)

会場:渋谷区立松濤美術館

住所:東京都渋谷区松濤2-14-14

電話番号:03-3465-9421

開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 

休館日:月(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日


※会期中展示替えあり

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